香りマーケティングとその効果・巧みなのに嫌味なく購買を促す

香りマーケティングとその効果・巧みなのに嫌味なく購買を促す

 

ここでは香りマーケティングが持つ効果を「ブランディング・記憶に残す・科学的根拠」といった3つの視点からお伝えしています。

 

 

 

香りマーケティングとその効果

 

エッセンシャルオイルと呼ばれる天然の香料は、人間の感情や気分に働きかけ、一瞬で行動を左右する力を持っています。

 

2000年代前後から国内ではレクサスが先駆けてこのような香りの力を活用し、そして今ではいたるところでな香りを流すサービス(アロマ空間デザイン)を採用するようになっています。

 

これらの企業は次からお伝えするような香りマーケティングの効果を前提に自社のサービスを有利に運ぶためアロマ空間デザインを採用しているのです。

 

 

 

ブランディング

 

ブランディングは売り上げや利益など業績における有利な展開を行う目的で行われます。

 

 「最高級化するための手法」のように勘違いされがちなブランディングですが、シャネルのようなハイブランドもあれば、セブンプレミアムのようなリーズナブルな価格帯でもブランドです。

 

 

 

 

例えば帰宅帰りの独身サラリーマン男性に以下のように言わせている状態が”ブランディングが効いている状態”と言えます。

 

残業で疲れて帰る日の夕食はセブンプレミアムの炭火牛カルビ弁当一択!炭火で焼いた匂いが特に好き

 

 

 

次でお伝えするように香りマーケティングの効果の一つにブランディングが挙げられるのは、「顧客に感覚体験を提供するとブランディングの目的達成に圧倒的に有利だから」です。

 

 

 

感覚体験を提供するブランディング

 

 

映画館でポップコーンの合成香料を館内中に充満させて売り上げを伸ばす、といった取り組みは今では当たり前のように行われています。

 

あの匂いがなかったら映画館に来た気がしないほど映画館での楽しい体験とポップコーンはいつの間にか私たちの中でセットのようになっていると言えるでしょう。

 

 

 

ある実験によると商品やサービスの画像とそれら関連する香りや匂いを同時に嗅ぐと、商品やサービスに対する評価が上がり、実際に試してみたい・買ってみたいといった購買意欲を掻き立てるといった結果が出たとか。

 

 

 

 

ポップコーンのように匂いで食欲を刺激するような商品だけでなく、ほんのりミルクの匂いがする乳白色のヘアシャンプーや新車の匂いを添付する自動車などそれらに関連する香りや匂いを同時に嗅いだほうが商品サービスへの関心が向上するというのです。

 

 

 

マーケティングに大成功している企業ほど、そのようなリアリティある感覚体験を意図的に顧客に提供し、顧客を楽しませて売り上げアップという目的を達成していると言いますから実に巧みですよね。

 

 

 

 

その場の出来事を鮮明に記憶に残す

 

炭火が香ばしい牛肉、ポップコーンの合成香料、ミルクの匂いがするヘアケア剤、レザーシートに添付される合成の新車の匂い、どれももともとの目的と何ら関係がありません

 

空腹を満たす・お目当ての映画を見る・髪を洗う・目的地に行くといったユーザーが本来意図している目的からすれば、匂いや香りといった感覚体験は必ずしも不可欠なものではありませんが、使った時の満足度が飛躍的に向上、果てはあとあとまで記憶に残る体験となります

 

 

 

 

香りは長期記憶や感情に深く結び付く性質があり、それが積み重なるほど商品やサービスの情報自体も同時にアップデートされ、似たような匂いだけを嗅いで商品やサービスを思い出させて嗜好行動を促すこともあるのです。

 

外側が言語など知的処理を行なう大脳新皮質、真ん中が本能・感情を司る大脳辺縁系、内側が体の機能の司令塔脳幹
匂いや香りは大脳辺縁系で認識され、香りに対する価値情報を記憶、不快な匂いの情報は0.4秒で中枢神経に伝わり回避行動が起こる

 

 

 

 

このように特定の香りや匂いが関連する記憶や情動を呼び起こすことをプルースト効果と呼んだりします。

 

 

 

香りという嗅覚体験によって満足度が上がり、商品やサービスを使用する体験の質が上がれば、企業そのものに興味関心愛着が沸くのはあまりに自然な流れです。

 

 

 

こうした視点で香りをマーケティングに活用するならば、きわめて負荷のない戦略的取り組みと言えるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

企業のアイデンテティ形成

 

 

香りマーケティングの効果で忘れてはならないのは、企業のアイデンテティの形成に大いに役立つ点です。

 

合成の新車の匂いは顧客に「やっぱり新車にはこの真新しい匂いがないとね」といったように商品サービスそのものの、「らしさ」を形成する上でも重要な役割を果たしています

 

 

BMWとバラ

 

上質な製品のディティールを伝えるためには豪奢なバラを活用し、親しみやすさを感じてもらいたいならばシトラスと言ったように香りは企業のアイデンテティの要素として訴求することが可能で、これが企業の独自性を打ち出し「他のお店の商品サービスだったら絶対に体験できない経験」を提供する方法でもあるのです。

 

 

 

 

 

 

薬理学的効果

 

特に天然香料をマーケティングに活用するときに得られる効果として、薬理的効果も挙げておきたいものです。

 

 

植物から採取されるエッセンシャルオイルは数百の分子が集まっており、呼吸などにより体内に取り込まれて体中をめぐりリラックスやリフレッシュなど多様な効果を心身にもたらします

 

お店に入った瞬間から心を解きほぐすような香りを店舗に満たしていれば、スタッフとの会話も弾み滞在時間も伸び売り上げの拡大も期待できるというもの。

 

 

For evry additional minutes a shopper spends at a bussiness, their spending increases by 1%. −Martin Rindstrome−
1分滞在が伸びると消費は1%上がる

 

 

 

 

 

香りは本能や情動をつかさどる大脳辺系を刺激し、くつろぎを提供するだけでなく購買意欲も掻き立てるのです。

 

 

 

 

最新科学が伝える正直過ぎるリアクション

 

 

ほのかで好印象の香水を身に付けている人とすれ違えば振り返ってしまうほどですが、例えばガス漏れ・痛んだ食品などの異臭を感知したとき、即それらから遠ざかろうとします(以下危険回避行動と呼ぶ)。

 

嗅覚で匂いを認識・その刺激がどのように中枢神経に伝わり、回避行動に至るのか?…実はこのメカニズムはつい最近まで謎に包まれていました。

 

 

ここからは2つの最新の報告をご紹介しながら匂い・香りに対するリアクションを活用したマーケティングの商業的有効活用についてお伝えします。

 

 

 

 

芳しい香りをマーケティングに活用すると嗜好行動が起こる

 

一つ目の報告は、「好印象の香りをスクリーニング」して商品サービスの展開を有利にするといった内容です。

 

 

  • 匂いや香りはいくつもの嗅覚受容体を刺激し、個々の嗅覚受容体ごとに「好き」「嫌い」といった価値情報を持っている
  • 特定の匂いや香りに対するリアクションは、個々の嗅覚受容体の価値情報の足し引きの結果※で決まる
  • 嗜好行動を引き起こす嗅覚受容体を刺激する香りを活用すれば「よりかぐわしい匂い・香りがする商品」として認知され商業的に有利

出典:2019年東原 和成らContribution of individual olfactory receptors to odor-induced attractive or aversive behavior in mice

 

 

※足し引きの結果=好きという価値情報が嫌いという情報より上回るならばトータルな意味で好印象が残る、といった意味

 

 

 

この報告をもう少し詳しくご説明します。

 

 

匂いや香りの正体は複数の分子の集合体です。ジャスモン酸とインドールが嗅覚受容体に付着すれば「ジャスミンの花の香りだ」というように認識されます。

 

 

 

 

 

実は匂いや香りは分子そのものが持っている物理的な特質ではなく、私たちの知覚が生み出しています。つまり匂いや香りの感知は知覚で起きている出来事に過ぎません。

 

 

 

下のように「@香り分子が嗅覚受容体に付着→A嗅球に刺激が伝わる→B2の情報が大脳に伝わる」といったように脳内での情報伝達で香りが認識されているのです。

 

 

 

 

 

嗅覚受容体に伝わった嗜好行動を誘発する匂い・香りの分子の情報は、以下のようなパターンを促すので好印象の香りを企業活動に活用すると有利です

 

 

好ましいといった価値情報を持つ香りであれば嗜好行動に

近づく・手に取る・確認する・親しみを感じる・長居するなど

 

 

*1

 

 

 

 

 

 

不快な匂いに0.4秒の拒否反応

 

次は、「不快な匂いへの拒否反応について」の報告です。

 

 

 

  1. 匂い物質が嗅覚に刺激として伝わり、これが中枢神経に伝わって回避行動に至るまでの所要時間は0.4秒
  2. 1の行動は無意識で行なわれており、経験則による認知的な行動ではない
  3. 嗅球は大脳辺縁系(嗅脳とも呼ぶ)と匂い物質の情報をやりとりし、大脳辺縁系は危険を検出する役割を果たす

 

出典:2021年Johan N. LundstromらThe human olfactory bulb processes odor valence representation and cues motor avoidance behavior

 

 

不快な匂いによって拒否反応が起こるのはものの0.4秒。

 

 

二つ目の報告は、「不快な匂いや香りを放置すると多様な意味で不利」という課題を伝えています。

 

店舗という顧客を迎える場が店舗特有の好ましくない匂いになっているとすれば、それは「店舗から無意識に去る」といったような回避行動を促しかねないからです。

 

 

 

 

 

前述したように、私たちは痛んだ食品の匂いに気付けば即口や鼻から遠ざけようとします。

 

似たような例で食当たりでお腹を下すというような経験は、大脳辺系がその食品の匂いを危険な情報として記憶し、同じパターンで食当たりを起こさないように恐怖やトラウマの体験として記憶されるといったこともあるのです。

 

 

 

 

 

 

 

アンケートに見る好印象の香り

 

 

「好ましい香りを活用するとマーケティング上いいことが起こる」などと言ったとしても、ハードルの高さを感じてしまいがちではあります。

 

 

以下日本人を対象に好きな香りについて回答してもらったアンケートをランキング形式で紹介しますので、ご参考ください。

 

 

 

日本人が好きな香りランキング

  1. レモン
  2. ラベンダー
  3. オレンジ
  4. バラ、金木犀(同列4位)
  5. ヒノキ
  6. グレープフルーツ
  7. コーヒー
  8. ライム
  9. ゆず
  10. せっけん
  11. ミント
  12. ジャスミン
  13. 緑茶
  14. サンダルウッド
  15. 沈丁花
  16. バニラ
  17. 林檎
  18. シナモン
  19. 沈香
  20. カモミール
  21. イチゴ
  22. メロン
  23. みかん
  24. クチナシ(ガーデニア)
  25. ローズマリー
  26. マスカット
  27. レモングラス

出典:朝日新聞2013年4月13日 N=1311

 

 

 

弊社のアロマ空間デザイン施行の経験上ですが、柑橘や果物のように日常的に嗅いでいる香りほど馴染みがあって万人に好かれやすいという実感があります。

 

また、都市部で生活する人ほど森林の香りを求める傾向が強いようです。

 

 

 

 

 

香りマーケティングを導入する方法として今求められる「らしさ」を表現する

 

スマホやパソコンの長時間利用により現代人は慢性的にデジタル疲れしており、2020年からコロナが影響して身近な環境を快適にしようとする欲求も高まりました。

 

つまり2020年以降ストレスフリー・安全安心・快適性という傾向が香り市場でも強まっているということ。

 

 

 

香りマーケティング協会渡辺昌宏氏は2020年以降のマーケティングを香りという視点で見たときに、特に以下7つのキーワードを挙げられると言っています。

 

2020年の以降の香りマーケティングのキーワード

  • 分香:適材適所の香りの適用・香りの濃度の調整など
  • 見える化:「密かに香りを忍ばせる」よりも、「使用している香りを絵図などで明確化」
  • 伝える化:香りについての方針(セントポリシー)を掲げる企業が増える
  • 差別化:他社との違いを明確化するために香りを使う
  • 国際化:人種ごとに馴染みある香りを提供する
  • 変化(多様化):それぞれの「好き」を応援
  • 進化:ドライバーの体調によって香りが変化する自動車など

2019年香りデザイン東京特別講演会より

 

 

 

 

この7つのキーワードから、具体的に香りマーケティングを導入するには企業独自の香りを活用することをおすすめします。

 

この理由は前述してきましたように、企業のアイデンテティ・商品サービスに関連する感覚体験が提供されると自然に嗜好行動を起こしやすいからです。

 

 

 

五感のうち最も重要なのは視覚ですが、膨大な情報の中で特定の情報が記憶されるにはよほど視覚的にインパクトがないと埋もれてしまいがち。

 

視覚の次に重要と言われる嗅覚は、商品サービスに関連する香りであれば長期的な記憶に残りやすいという性質もあります。

 

 

 

 

弊社では企業独自の香りを抗菌効果やリラックス作用を持つ天然精油で製作し、商業施設のすみずみに漂わせるアロマ空間デザインというサービスをご提供していますので、よかったら下記をご参考くださいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▼ほかの参考

 

*1東北大学大学院 谷本拓教授による動物での回避嗜好行動の実験がある。
砂糖と電気ショックそれぞれを与える前に別な匂いを嗅がせ、電気ショックの匂いについては回避行動を起こす、砂糖の前の匂いについては嗜好行動を起こすという。

 

 

宮崎大学農学部教授新村芳人

 

 

 

 

 

参考

 

 

なお、前述した東原和成教授らの報告の概要は以下の通り。

 

出典:東京大学 大学院農学生命科学研究科

 

 

ムスコン(ムスクの合成香料)は高感度MOR215-1と低感度MOR214-3のいずれも活性化、このとき嗜好行動が起こる

 

 

Z5−14:OHの場合のリアクションは以下の通り

  • 高感度Olfr288単独が活性化されるとだと嗜好行動
  • 低感度OlfrTs単独が活性化されると回避行動
  • 高感度Olfr288と低感度OlfrTsのいずれも活性化されると回避行動

 

 

 

  1. 嗅球
  2. 嗅上皮
  3. 嗅覚受容体

 

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