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「高齢男性顧客がほとんど」という日常を疑う――1.5倍の管理台数を生んだ岩沼店CS御担当者の「上書き戦略」

5年間で管理台数1.5倍という驚異的な伸びを見せるホンダカーズ宮城中央 岩沼店。かつて高齢者男性がほとんどだった静かな店舗は、今家族連れの笑顔で溢れています。

そこには、業界の当たり前に潜む「ロス」を見抜き、店舗を「居場所」へと塗り替えていったCS御担当者様はじめとした岩沼店の緻密な戦略がありました。

今回お話を伺ったのは株式会社ホンダモビリティ東北岩沼店CS御担当者の水野裕都様です。

1.5倍の管理台数を生んだ岩沼店様の施策の全貌

顧客とのタッチポイントの中に潜むロスを「仕組みと環境」で改善、管理台数が1.5倍に

「以前は男性がお一人で来店されて、自宅に戻って奥様に相談するのが一般的だった」-長年目の当たりにされてきたこの当たり前のプロセスの中に、大きな“ロス”が潜んでいるということに気づいたそうです。

  1. 男性が一人でご来店する
  2. ご商談での情報を持ち帰る
  3. 奥様に相談する
  4. もう一度ショウルームに来る

このプロセスだけで決断が数か月先になることがほとんどです。その間に他社の情報が入って気を取られてしまったら?

こうした場合奥様含めご家族みんなでご来店いただき、目の前でご不安や質問にお答えしたほうが効率的でお互いに有益と思われるシチュエーションはよく起こります。そして御車の購入では、子育て世代の若年層に多くのニーズがある。

こうした状況で岩沼店で行われたグランドリニューアルの施策は「戦略的」でした。しかし施策の内容をお聞きすれば一見CS顧客満足度の向上の施策に思えます。

ショウルームの刷新だけでなくキッズスペース・駄菓子コーナー・アイスマシンといったように小さなお子様が喜ぶ施策、そして何より母親が気兼ねなしにお子さんをショウルームに連れて来店できる「子育て世代女性への配慮」でした。

商談をしながらぐずって泣き叫ぶお子さんのケアを十分にできる母親はいません。女性が子供に気を取られずに商談に集中できる環境やお子様が喜ぶ環境を整えることに、岩沼店のグランドリニューアル施策のポイントがおありだったようです。

ここ数年は男性一人で来店されて持ち帰る光景はほとんど見かけません。今は大体奥様が一緒に来られて、その場で決めてお買いになるのが結構多いです。アイスと駄菓子はお子様にはかなり人気で、『これ欲しくて来たんだよね』みたいな感じになっています。

現在岩沼店での管理車両台数は5年前と比べて1.5倍に増えたそうです。車離れが叫ばれる時代に驚異的な伸び率でただただ驚くばかりです。

敷居の高いディーラーのイメージを、とにかく気軽に行ける場に

昔のディーラーは全体的に白基調で営業の方はみんな硬かった。 今の若い世代の方は全く車に興味がない方もいます。男性は乗れればいいみたいな感じのイメージの人たちも多くいらして、車離れってどんどん加速していきます。そうなるとディーラーに立ち寄ることってまずなくなってくるのかなっていうところはあって。
言い方が合ってるかわからないですがショールームはディーラーっぽくない方がいい気がします。本当に喫茶店とかファミレスとか、本当にいつでも来れる場所を作りたいと個人的には思っています。

心理的なハードルは力技で変えられるようなものでもない受け手によるところが大きいです。しかし、CS御担当水野様はご自身が子育て世代という強力なバックグラウンドを持つことからお客様事であり自分事としてショウルームの環境整備を行われているようにも思えます。

敷居の高いディーラーのイメージが実はファミリー層にとっての“心理的なハードルになっているのだとしたら、「敷居が高い」というイメージを、キッズスペースが上書きし、高齢の男性がメインのお店という固定観念を家族で笑う光景が上書きする。一つひとつ上書きされるたびに、岩沼店は敷居高いディーラーから「みんなが集まれる居場所」へと変貌していったように思えます。

「居心地よい居場所を提供する場所」の最後のピース ショウルームでの香り演出

上述しました岩沼店での「5年で管理車両台数1.5倍」の激増は、「高齢者男性が多いショウルームが日常になってしまった中で行われた「当たり前の否定」で生まれた成果です。

ご家族で来店したくなるような環境を整え、最後のピースのようにショウルームでの香り演出を導入いただきました。水野様をはじめ岩沼店様からは「車を売る場所」はもとより「居場所を提供する懐深い自動車販売ディーラーのおもてなし」や余裕が随所に感じられます。

そして導入前にお店全体に香りが香るイメージができないのは当然のことです。キツイと感じる方がいらっしゃるのではないだろうか、鼻が疲れるんじゃないか、自分たちはいいと思ってもお客様がどう感じるかわからないなどとご心配される方もいらっしゃいます。

「さすがにお店の端は香りが届かないだろう」と思いました。実際に運用を開始してみたら何も心配がなかったですし、ショウルームの端まで香りが届いています。現在の児玉店長は店長として3年前にも岩沼店に着任され、その時になかったアロマに「この匂いどうした?」とすぐに気づいていました。

今まで五感というものを意識したことがありませんでしたが、私自身も CS 担当だったっていうところで勉強してみました。こういったショウルームでの香り演出のお話をいただいて、ベルガモットの香りを選んで正解だったと思っています。

お客様とショウルームで商談して、そして一旦外に出て車を見に行って戻った瞬間に、爽やかな気持ちになる。フロントにずっといると慣れてしまうこともありますが、外に出て戻ってくると、また同じ感覚がよみがえってそこがすごいと思っています

この「慣れ」と「リセット」の繰り返しこそ、天然香料ならではの特性です。合成香料のように鼻にべったりと残らず、一度外の空気を吸えばリセットされる。だからこそ、戻ってきたときに「ああ、この店の香りだ」と無意識のうちに認識できます。

このディーラー様ならではの「お店で商談して一旦外に出て御車を見て戻ってくる」という自動車購入のプロセスでは、「あれ?なんかいい香りがする。気のせいじゃない。忙しい子育てから解放されて極上のおもてなしだ。」と思える瞬間がいくつも散りばめられていて、顧客の中に「お気に入りのお店」の感情が醸造されます。

自動車購入という大きな意思決定においてスペックや価格だけでは決断は行われません。「なんとなくこの店で買いたい」「なんとなくまた来たい」という感覚的な納得感が、最後の一歩を後押しします。香りはその「なんとなく」を支える、力も持ち合わせています。

事務的な手間を極限に減らしたショウルームでの香り演出システム

岩沼店様で活用いただいているショウルームでの香り演出は、同社の経理システムとの整合性を考慮したシステムとして刷新したものです。

最初の2ヶ月は都度振り込み依頼を出していましたが、その後はご請求書を全部本社経理課に回して一括で振り込みです。何も必要なく回っています。

10種類の香りのラインナップのうち8種が月1万円以下で活用いただけるため申請不要です。そして郵送で届く香りのリフィルを含め「現場の負担を増やさない」という設計から生まれています。

手間をかけずにどんな担当者様でも天然の香りによる快適性をショウルームで再現できるように一つ一つの香りの品質や商品力に磨きをかけ、当たり前を疑って刷新を行っています。

インタビュー後記――「当たり前」を疑う行動力

水野様をはじめとした岩沼店様がフォーカスした「お客様とのタッチポイントから生まれるロス」、それは単に購買プロセスの非効率だけではなく「車そのものへの関心が薄れていく」という危機感からの気づきだったとも思いました。

キッズスペースは「また行きたい」を生むトリガーです。駄菓子とアイスは「楽しかった」という感情を醸成します。岩沼店はホンダ車を通して、ご家族で気兼ねなく過ごせる上質な時間と空間を提供しています。香りはその時間を記憶に刷り込んでいく影の黒子です。

かつて本田宗一郎氏は「女性にもてる車を作ろう」とおっしゃったそうです。それは例えばプレリュードのような御車を指すのかもしれません。現代に直してみれば、「子育て世代の若い女性も居心地よいショウルーム」を言うのかもしれません。

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弊社がご提供するアロマ空間デザインは、香り演出・商業施設が一体となり、その場に訪れるお客様たちが快適性や心地よさを感じられるよう、体験価値を高めることを目指しています。

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