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ベルガモットの起源と逸話|アレクサンドロス大王が運んだ「香りのエリート」の正体

紅茶のカップから立ち上る、気品あふれるアールグレイの香り。その主役である「ベルガモット」の正体をご存知でしょうか?

見た目はライムのようですが、その血統を辿ると英雄アレクサンドロス3世(大王)の東方遠征にまでさかのぼります。彼がアジアから持ち帰った「原種の柑橘」が、地中海の風土と出会い、長い年月をかけて奇跡的に結実したのがこの果実なのです。

イタリアの限られた地でしか育たない「箱入り娘」としての繊細さ、そしてナポレオンをも虜にした魅惑の芳香。今回は、知っているようで知らない「シトラスの王様」ベルガモットにまつわる、時空を超えた壮大な物語をご紹介します。

ベルガモットにまつわる逸話

「華やかな紅茶の香り」アールグレイの意外な誕生秘話

アールグレイの香りの正体はベルガモット。アールグレイの茶葉そのものがあの香りを放っているように錯覚するほどです。そして1830年代のイギリス首相、グレイ伯爵(Earl Grey)が現在のアールグレイ茶葉の原型を作ったとして知られています。

煎じたアールグレイから立ち上る香りよりも、実はパックの残り香のほうがよりベルガモットの香りがハッキリわかります。

ベルガモットの起源の謎

ベルガモットは、ミカン科の中でもかなりミステリアスな存在。遺伝子解析によれば、ビターオレンジとレモンの交配種であることが判明しています。

黄緑色の外皮からライム、そしてフレッシュなレモンとの交配種であることを彷彿とさせるのですが、実は「オレンジ」の血が濃く、ライムやレモンの直接の末裔というよりは、「ビターオレンジ」と「レモン」の交配種というのが現在の定説です。

つまり見た目はライムとは「似ているけれど別の家系の親戚」といった立ち位置です。ライムの爽やかさというよりは、オレンジの持つ「華やかな甘さ」と、レモンの「鋭い苦味」をいいとこ取りして生まれた、サラブレッドのような存在と言えます。

アレクサンドロス3世とコロンブス説

ベルガモットの誕生には諸説あり、有名な説のルーツは一人の偉大な征服者マケドニアの王アレクサンドロス3世(大王)にたどり着きます。

紀元前4世紀、大王が東方遠征によってペルシャから地中海へ持ち帰ったものの中には、当時のヨーロッパ人が見たこともなかった「シトロン」などの原種柑橘が含まれていました。

これらが地中海の土壌で交雑を繰り返し、長い年月を経てベルガモットへと進化していったという説が有力なのです。ベルガモットそのものが紀元前に存在した証拠は乏しいのですが、その親である「シトロン」や「レモン」の系統がアレクサンドロス大王の遠征によって広まったのは史実。

大王が種を撒き、地中海の風土がベルガモットという香りの傑作を完成させたというプロセスが有力視されています。

他にはコロンブスがカナリア諸島で見つけ、イタリアのベルガモに移植したという伝説があります。私たちが今日、アールグレイの香りに癒やされるとき。それは、かつて世界を駆け抜けた英雄が見た「黄金の果実」の遠い記憶に触れている瞬間でもあるのです。

ベルガモットが高価な理由:地中海という場所を限られた場所にしか生息しない完璧主義で気難しくデリケートさ

ベルガモットはイタリアのカラブリア州という、ごく限られた海岸地帯の微気候でしか生息できません。ある程度のあたたかさがあればどこでも育つレモンとは違い、非常に箱入り娘な性質をしています。

見た目はライム、香りはレモンのよう。でもその正体は、オレンジとレモンが奇跡的に出会って生まれた、非常にデリケートな香りのエリート。

調香師の世界では、ベルガモットは「シトラスの王様」と呼ばれます。単なる柑橘の香りを超えたフローラルで複雑な深みを持っているため、最高級の香水には欠かせない「エリート」として扱われてきました。

空気中に放たれた瞬間に優雅な雰囲気であらゆる人の心を捕えてしまう強力な力があります。

香料業界ではシトラスの王様と称されるベルガモットが、イタリアの最南端カラブリア地方という場所に限られたまるで専売特許のような性質をしていることから、現代ではより多くの栽培を試みアフリカのコートジボアールで栽培されているようです。

イタリア産のベルガモットが繊細でデリケートなら、コートジボアール産のベルガモットはよりフレッシュで力強い柑橘の印象です。またベルガモットの精油は、果皮を圧搾して作られ(果肉に精油は含まれません)、1kgの精油を得るためにおよそ200kg(約1,000個分)の果実が必要であることからもベルガモットが高価な理由となっています。

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